SSブログ

「コウカシタ」 [演劇・芸術]

@あうるすぽっと、チケット代は3000円(F/T回数券5回を利用)。公演時間は約1時間20分。

 イデビアン・クルーの井手茂太氏が振付・出演した作品。斉藤美音子、金子あい、中村達哉の3氏以外は、タイのオーディションで選出した6名のタイ人ダンサーという組み合わせ。

 「コウカシタ」は、すなわち高架下につながるわけですが、これが道路の高架下なのか、鉄道の高架下なのか、そもそも日本なのかタイなのか。そんな考えが巡るほど、そこには数多の人やシーンがあらわれ、動き回っているのが楽しい。

 ときに宗教じみた集団であったり、マッサージ業を営む人だったり、タイ(?)のアンダーグラウンドな演歌歌手、何かと戦う王子とその仲間だったりと、ともかく次々と登場してくる。

 途中、「ナカムラさ~ん」などとタイ人ダンサー陣が日本語を口にするシーンもある。なぜだろうか、他言語を母語にする人が、自分の母語をつたなく話すシーンというのは、それが特に深い意味があるわけでもなく笑いを誘ってくるのが不思議。逆をつけば、自分が他言語で何とかいっぱしの演技をしようとすると、そう受け取られるのかもしれません。

 それ以外にも個性の強いタイ人ダンサー3人が見せるパフォーマンスも楽しませてくれた。また、1人は井出氏と体格が似ていたり、日本人にも見える女性2人は実は双子だったらしい。

 ダンス公演というと台詞は多くないわけですが、今回の公演ではブログも開設されていて、普段観られない人となりが垣間見れたのも収穫の1つです。

http://festival-tokyo.jp/program/koukashita/
http://ameblo.jp/kokashita/
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

「春琴」 [演劇・芸術]

@世田谷パブリックシアター、チケット代は6500円(SePT会員)。公演時間は1時間50分。

 サイモン・マクバーニー演出による作品。2008年初演。約1年で再演し、観劇したのは今回が初めて。

 谷崎潤一郎の「春琴抄」「陰翳礼讃」がモチーフ。しっかりとした学生時代を送らなかった私は両作とも未読でしたが、仮に知っていない状態でも話を理解することは可能でした。もちろん、原作を読んでいた方が自分が捉えた部分と、本作で捉えられた部分の比較などができて良かったのかもしれませんが……。

 上演前の舞台は奥の壁が客席近くにまでせり出されており、いったいどのような舞台になるか関心を寄せられる。果たして舞台が始まると、出演者が横一列にならび、語り、着替える者もある。そうしているうちに1歩2歩と下がり始めるとともに、壁も下がっていく。音、がしたのかは今となっては失念気味ですが、実に印象深いスタートに自然と舞台に引き込まれていったのが正直なところ。

 舞台は春琴と佐助が生きた時代、2人の関係を探る男性、それに春琴に関する番組のナレーションを担当する中年女性のシーンと3つに分かれている。春琴と佐助の関係は客席から観ていても異常であり、春琴のサディスティックさ、それに従う佐助という構図が普通ではない感覚を思わせる。後半に行くにつれて、恍惚的な印象すら感じた。

 演出や出演者たちの演技、舞台美術等と素晴らしいと感じさせる部分が多すぎる舞台だったが、やはり何より春琴それ自身の演技を人間ではなく、人形を使った点。終盤、成人後の一部は生身の人間を人形に模して、そして火傷して顔を隠した状態では声をあてていた深津絵里が演じていたのだけれど、それまではずっと人形が成長していく。

 特に幼少期では生身の人間が演じることによる非現実さ、「実際にはないよね」や「演じている子も大変だなぁ」とふと我に返ってしまうのだけれど、人形にすることで春琴が内包するサディスティックさが比べようもなく強くなったと感じた。また、深津絵里が発する春琴の声も素晴らしかった。同じ人形と言うと押井守の「イノセンス」を思い出し、その頃やっていた「球体関節人形展」にも足を運べばと今更後悔する。

 人形を動かし、なおかつ台詞をあて、演技をする。通常の舞台とはまるで異なる点は稽古場も相当だったのではと想像できる。最初、日本人の演出家ではないので肌に合わなかったらどうしようと思っていたが、結果としては杞憂に終わり、そうした発想はよろしくないと考えは改めることにした。

http://setagaya-pt.jp/theater_info/2009/03/post_148.html
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

「火の顔」 [演劇・芸術]

@東京芸術劇場 小ホール、チケット代は3000円(F/T回数券5回を利用)。公演時間は約1時間50分。

 ドイツ人のマリウス・フォン・マイエンブルグ氏による戯曲を劇団「サンプル」の松井周氏が演出。人物の名前や食生活、家屋など所々は日本ではないが、そこに登場する人物たちは日本にも存在しそうな家族だった。

 厳格ではあるが、口だけで自ら手を出そうとしない父親、思春期でそのうち良くなると考える母親。その一方、姉弟は情欲に溺れ、弟は姉に恋人が出来たことで、自らを火傷させる。

 フェスティバル/トーキョーの5回セット券を買い、普段観ない、知らない作品を観ようとチョイスした作品。特に弟の自傷ぶりや引きこもり、火への執着が印象に残った。口語演劇で、思っていたよりも公演時間が長かったので所々集中力が切れてしまったが、姉弟の生まれたときの記憶というのも本作の重要な点だったのかもしれない。


http://festival-tokyo.jp/
http://festival-tokyo.jp/program/fireface/index.html
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

野田地図 第14回公演「パイパー」 [演劇・芸術]

@シアターコクーン、公演時間は約2時間5分。チケット代は9500円

 1000年後の火星が舞台。900年前に地球から移住してきた人間の子孫が、食料もなくなりつつあり、なおかつ「パイパー」という謎の物体に襲われつつも、辛くも生き残っている。そもそも希望を持って火星に移住してきたのに、なぜこんな事になったのか。死者に埋め込まれていた記録装置“おはじき”で過去を振り返りながら、その真相を探っていく。

 パイパーは、人々の幸福度を指し示すパイパー値の上昇のため、手助けするためのロボット?。従って、移住当初は人の手助けをするし、人に危害を加えることなどはなかった。ではなぜ、人を襲うようになったのか。それはやはり人側に原因があった。

 パイパー自体が何者かは別として、個人的には「ロボット三原則」を思い出しながら観劇していた。要するに「人に危害を加えてはならない」「人の命令には服従する」「前2項に反しない限り、自己をまもらなければならない」というもの。

 すでに観劇から1カ月ほど経ち記憶も朧気になりつつあるけれど、「人の命令には服従する」という部分に強くパイパーが反応したように思える。それは900年もそうだし、1000年後の火星人類が危機に瀕する数十年前も。特に後者では、パイパーが自らの過ちを質され、すべてを無に帰そうと行動をはじめるのであるけれど。そうした点では、パイパー自身に悪意はなく、ただただ行動の補正に努めているだけなのかもしれない。

 一方の人間側では、自己が生きるためのエゴが見え隠れする。そこに食料があるのはなぜか、どこで調達しているのか云々。絶望の淵にたった中でも、本作では希望を感じさせるシーンが幾つかあった。個人的に再演作を除けば、「The Diver」など近作は絶望を感じる作品が続いていたので、なにか一筋の光が非常に強く感じられた。

 宮沢りえ、松たか子、橋爪功、大蔵孝二と、非常に強力なメインキャスト陣であって、シリアスから笑わせてくれるシーンまでと実に多種多彩だった。宮沢りえの声が少しかすれていたけど、以前の舞台でも似たような声質だったので、実はかすれから来るものではないかもしれない。

 終盤、宮沢りえと松たか子が手をつなぎ、幾つかのフレーズを繰り返すのだが、どうも他の方の感想を読んでいると、それは池袋の東京芸術劇場にたどり着くらしい。会場で戯曲を掲載した月刊新潮を買わなかったのを今になって後悔しつつある日々。素直にWOWOWでの放送を待った方が良いのだろうか。

 次回公演は、芸術監督に就任する東京芸術劇場で、2009年8月~9月に「ザ・ダイバー日本語バージョン」。野田氏のほか、大竹しのぶ、渡辺いっけい、北村有起哉が出演。

http://www.nodamap.com/en/piper/
http://www.nodamap.com/
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

ボクデス「スプリングマン、ピョイ!」 [演劇・芸術]

@SuperDeluxe、公演時間は約90分(このうち休憩20分)で、その後のアフタートークは約20分(小浜正寛×安斎肇)。チケット代は3500円(前売り+1ドリンク)。

 見出しは短くしてありますが、正式名は「吾妻橋ダンスクロッシングpresentsボクデス・ソロパフォーマンス・ベスト・ライブ『スプリングマン、ピョイ!』」と実に長い(笑)。ベストライブということで、2007年末に「HARAJUKU PERFORMANCE +(Plus)」で観た「紙とロック with peace」のパフォーマンスも改めて観ることができた。

 実は「紙とロック with peace」のイメージを強く持っていて、今回のライブも映像を組み合わせた大がかりなパフォーマンスが続くのかと想像していたものの、そうではなかった。実際は細やかな、パフォーマーの繊細さを感じるパフォーマンスが中心で、最初のうちは自分で勝手に作り上げたイメージとのギャップに戸惑ったけど、それも次第に薄れていき、休憩以降はそうした細やかさを楽しめるようになった。

 ステージ自体は決して大きいわけではないけれど、一部のパフォーマンスを除けば、もっと狭い面積でも成立するのかもしれない。そうすると、実は前から見るより、斜め上から見下ろすような感じで観てみると、人数は制限されるけど、違った楽しみが生まれるかもと感じた。

 開演が10分押しで、その後20分で20分の休憩に入った点だけは首をかしげた。けれど、休憩中もパフォーマンスが継続していたので、判断は難しいところ。できれば、30分、休憩20分、40分と、前後のバランスが取れていれば違和感なく見続けられたと思う。

 1ドリンクでアルコールも飲めたけれど、腹痛だったためホットティーでやり過ごす。次に機会があったら、気になるドリンクもあったので試してみよう。

http://precog-jp.net/bokudes/
http://www6.plala.or.jp/BOKUDEATH/
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

ポツドール「愛の渦」 [演劇・芸術]

@THEATER/TOPS、公演時間は約2時間20分。チケット代は前売4000円。

 第50回岸田戯曲賞を受賞した作品の再演。本作以降の新宿THEATER/TOPSは閉館記念公演が続くので、劇団としての上演はポツドールがラストを飾った感じでしょうか。

 性欲を満たすことを目的に、とあるデザイナーズマンションの一室に集った男女10人(実質は8人)。冒頭、時間のロールバックが入ったものの、その後は朝5時まで時系列に進行していったように思う。

 ポツドールを初めてみた前作「顔よ」もそうだったけれど、他の演劇と違って、人の日常生活をのぞき込んでいるような感覚に本作もとらわれる。もちろん、本作のような世界は普通であれば踏み込むことはないだろうが、それでもそこに出てくる登場人物たちの変貌や本心のさらけ出し方などは実に生々しく感じる。

 そして午前5時とともに、カーテンが開けられ、現実に戻されるシーンは、朝まで飲み屋で騒いだあとのような、雰囲気も近い。浮き世が終わり、もとの世界に帰るというような感覚というような。

 初演は観ていないものの、再演では直近で流行っているお笑い芸人のネタやM-1グランプリの話題などが入れられていて面白い。登場人物の設定も、当時から今で少し変わっているのかもしれない。あと、「高度なギャグ」的な発言は、「顔よ」でもあった気がするから、ある種のお約束フレーズなのかしら。

 テーマとしては、「愛の渦」「顔よ」ともに特徴的だけれど、より日常生活に近い「顔よ」の方が衝撃があったかなと思う。

 次回は10月に下北沢駅前劇場で特別企画公演。三浦大輔氏の作品としては、年内公開予定の映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」が次回作になるのかも。

http://www.potudo-ru.com/
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

モダンスイマーズ「トワイライツ」 [演劇・芸術]

@吉祥寺シアター、公演時間は約2時間。チケット代は前売4000円。

 ジャイ、スネ、シズカと、ドラえもんの登場人物で呼び合う小学校時代。そこに登場する富田薫という人物だけが、その都度、愛称が変わってくる。公演チラシを読んだ際に、“薫”役だけが3人に割り当てられており、トリプルキャストかと思ったらそうではなく。とあるポイントで、青年時代から少年自体へと戻り、そのたびに、次の“薫”が出てくる仕掛けになっていた。

 鶴田真由演じる“緒川歌子”に思いを寄せる、薫。しかし、彼女の兄・友久(山本亨)は粗暴で、小学生と言えど、容赦なくぶつかってくる。“のび太”と呼ばれた最初の薫は流されたままの人生を送り、2人目は自ら行動を起こす、そして3人目は傍観者としての立場を選択する。

 恋愛シミュレーションゲームで言えば、フラグの立て方を変えて、正解ルートへとたどり着くことを目指していく形なのだけれど、本作の場合、どのフラグを立てても結果は同じ。薫は報われない状態が続く。

 薫役はかわっていくものの、小学生時代が3回繰り返される形。ただ、同じシーンが何度も繰り返されるのではなく、1回、2回、3回と繰り返すにつれて、それぞれの登場人物が持つ思いや考えが浮かび上がってくる。それは青年時代も同じで、特にスネと呼ばれる近藤祐介(菅原永二)の光と影の部分は、なるほどと思わされた。

 終盤になるにつれ、歌子と友久の兄妹が持つ隠された関係も明らかになっていく。兄がなぜ粗暴になったのか、果たしてどれを真実すべきかはわからない。「嫌われれば良いだけだ」との台詞や、優しさ故に生じる不幸に言いようのない重さをも感じた。

 舞台美術はシンプルで、白一色ながら光や映像、立体物を組み合わせて、その都度その都度のシーンを表現していたように思う。

 蓬莱竜太氏の演出作品は今回で2度目ながら、モダンスイマーズは今回が初めて。この2回の範囲で言えば、自分には非常に合う劇団に出会えたと言えそう。

 次回公演は7月に赤坂レッドシアターで10周年記念公演。

http://www.modernswimmers.com/
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

山海塾「金柑少年」 [演劇・芸術]

@東京芸術劇場 中ホール、チケット代は3000円(F/T回数券5回を利用)。公演時間は約1時間40分で、その後のアフタートーク(天児牛大×蜷川幸雄)は約30分。

 フェスティバル/トーキョー上演作品の1つであり、初めての山海塾。「金柑少年」自体は1978年に初演されたもので、今回上演されたのは2005年に初上演された「リ・クリエーション」に準じる内容らしい。

 山海塾、大駱駝艦などの舞踏作品は観ようと思いつつ、なかなか足を運べなかった分野。今回、フェスティバル/トーキョーで5回セット券を買ったことで、遂に観劇にのぞむことになったわけです。

 台詞があるわけでなく、大きな動きがあるわけではないものの、観ているうちにじわりじわりと引き込まれていく。それがどうしてなのか、というと上手く説明できないけれど、数年経ってふとしたキッカケで足を運ぶと、また違ったものが得られるような気がする。

 フェスティバル/トーキョーでの上演回数は合計3回。このうち、自分が足を運んだ回は舞踏手に加えて、孔雀のパフォーマンスが見事だった。アフタートークで、天児牛大氏が「踊り手が嫉妬する」との発言をしていたけど、確かにあの上演会での孔雀の動きは偶然の産物とは言え、決して見落とすことのできない存在だった。蜷川幸雄氏もやはり感化されていたようで、氏の作品にひょっとしたら多数の動物が今後投げ入れられるのかもしれないと思うと少し楽しみ。

 舞台上にはマグロの尾をかたどった模型がそれこそ数百個以上使われていたけれど、1978年当初はホンモノのマグロの尾を使っていたらしい。それも欧州公演にも持ち込んでいたとか。今回の公演では洗練された印象を受けたけれど、仮にそのマグロの尾を使った舞台を観ていたら、一層前衛的な印象を受けたのかもしれない。

http://festival-tokyo.jp/
http://festival-tokyo.jp/program/kumquat/index.html
http://www.sankaijuku.com/
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

志の輔らくご in PARCO 2009 [演劇・芸術]

@パルコ劇場、チケット代は6000円

 2007年から3回目のin PARCO公演。公演時間は休憩15分を入れて、2時間30分ほど。

 前回は「歓喜の歌」の映画化等があり、賑やかなイメージが強かったですが、今年はじっくりと楽しませてくれる演目が多かったように感じました。

 演目は「ハナコ」と「狂言長屋」、「柳田格之進」の3本。狂言長屋では、実際に狂言を拝見できるシーンがあって、現代語に直した内容だったけれど、初めての生狂言を体験できたのでした。

 落語自体とは関係ありませんが、今回初めてブランケットを無料で貸し出しているのを発見。昨年、途中から舞台から来る寒さに難儀したので、有無を言わさず借りてみる。特に前方はじわりじわりと寒さが来るので、不安だったら借りておくのが吉かと。

http://www.shinosuke.com/
http://www.parco-play.com/web/page/information/shinosuke2009/
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:お笑い

冨士山アネット「不憫」 [演劇・芸術]

@ザ・スズナリ、チケット代:早割2500円

 一風変わった病院に新たに入院することとなった患者と、病院を統べる病院長とのやりとりからスタート。公演時間は50分ほど、足を運んだ日は定刻から12~3分ほど遅れて開演となりました。

 舞台最前の上方には大型モニターがつり下げられており、冒頭のシーンはカーテンに囲まれたエリアを俯瞰撮影して映し出す。新たな患者が入院と相成ったところで、カーテンが取り除かれ(正確にはカーテンレールに沿って、オープンになっていく)、他の病院関係者や患者たちが登場してくる。

 会場柄、前方に座っているとモニターは見上げる必要があり、中盤以降に出てくるモニターによる演出と、舞台上での動きを同時並行的に見ることは難しかったかなと思う。その逆に、舞台手前で寝転がっているシーンは前方ならではの特典とも言えそう。

 間を置くことなく、次々とパートが音楽とともに進行していく印象で、テンポ感が良かった。音量は少し控えめで、時折、動きと音楽が浮いてしまっている感じも受けた。個人的には、いっそ爆音にして観客席も取り込んでしまうと、ワクワク感が高まって良いなぁと思った。また、カーテンを2重化して舞台を仕切っていくのはシンプルだけど、新鮮な演出でした。

 モニターに映し出されるのは、一部を除きほぼライブ映像。ビデオカメラをよく見ると、無線キットか何かが下部に装着されていた雰囲気。バリアングル液晶だったので、時折、見せる複数演者との絡みで、バリアングルをうっかり折ってしまわないか無駄にどきどきしてみた。

 出演者同士の動きはダンスと言えばダンスだけれど、それぞれが絡み合うときは格闘技、組み手のような印象でした。全員がダンサーというわけではないため、人によって動きの滑らかさに差が出ていて、ちょっとカクカクしてしまっていたのは少し残念だった。

 公演終了後にはアフタートークとして、カンパニーデラシネラの小野寺修二氏が登場。それぞれの制作過程や考え方が垣間見られたのは収穫でした。デラシネラは直近で見たけれど、きちんと話している小野寺氏を拝見できたのは今回が初めて。アフタートークと言いつつ、30分近くあったものの、こちらも時間を感じさせることはなく。

 気になった点はいくつかありましたが、「ここが駄目だったから、ちょっと」のではなく、「ここが良くなれば、一層面白いことになりそう」と感じさせてくれたので、次回公演も引き続き。現況の価格体系を踏まえれば、十二分な内容でした。

 2009年5月に海外ツアーの凱旋公演が、2009年秋に新作公演を予定しているとのこと。

http://fanette.fc2web.com/
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。