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モダンスイマーズ「トワイライツ」 [演劇・芸術]

@吉祥寺シアター、公演時間は約2時間。チケット代は前売4000円。

 ジャイ、スネ、シズカと、ドラえもんの登場人物で呼び合う小学校時代。そこに登場する富田薫という人物だけが、その都度、愛称が変わってくる。公演チラシを読んだ際に、“薫”役だけが3人に割り当てられており、トリプルキャストかと思ったらそうではなく。とあるポイントで、青年時代から少年自体へと戻り、そのたびに、次の“薫”が出てくる仕掛けになっていた。

 鶴田真由演じる“緒川歌子”に思いを寄せる、薫。しかし、彼女の兄・友久(山本亨)は粗暴で、小学生と言えど、容赦なくぶつかってくる。“のび太”と呼ばれた最初の薫は流されたままの人生を送り、2人目は自ら行動を起こす、そして3人目は傍観者としての立場を選択する。

 恋愛シミュレーションゲームで言えば、フラグの立て方を変えて、正解ルートへとたどり着くことを目指していく形なのだけれど、本作の場合、どのフラグを立てても結果は同じ。薫は報われない状態が続く。

 薫役はかわっていくものの、小学生時代が3回繰り返される形。ただ、同じシーンが何度も繰り返されるのではなく、1回、2回、3回と繰り返すにつれて、それぞれの登場人物が持つ思いや考えが浮かび上がってくる。それは青年時代も同じで、特にスネと呼ばれる近藤祐介(菅原永二)の光と影の部分は、なるほどと思わされた。

 終盤になるにつれ、歌子と友久の兄妹が持つ隠された関係も明らかになっていく。兄がなぜ粗暴になったのか、果たしてどれを真実すべきかはわからない。「嫌われれば良いだけだ」との台詞や、優しさ故に生じる不幸に言いようのない重さをも感じた。

 舞台美術はシンプルで、白一色ながら光や映像、立体物を組み合わせて、その都度その都度のシーンを表現していたように思う。

 蓬莱竜太氏の演出作品は今回で2度目ながら、モダンスイマーズは今回が初めて。この2回の範囲で言えば、自分には非常に合う劇団に出会えたと言えそう。

 次回公演は7月に赤坂レッドシアターで10周年記念公演。

http://www.modernswimmers.com/




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