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双数姉妹「ユニゾニア-鏡の国のコロス-」 [演劇・芸術]

@笹塚ファクトリー、チケット代は前売3500円。公演時間は約1時間50分。3月のカンパニーデラシネラ以来、久しぶりの観劇でした。

 公演案内には対になった役者が同じ演技をするユニゾンとあったので、舞台を左右に分けて舞台が進行するものかと想像して劇場に入ったらそうではなく。正しくは、舞台を前後に、境界線をカーテンで仕切り、そこを鏡と見立てて、前後の役者がユニゾンするスタイルだった。

 面白いのは舞台の奥手、中央あたりに三角の頂点部分のような奥行きが作られていた点。これにより、自分が鏡をのぞき込んだときにある、現実とは少し奥行きがずれている感覚が感じられたりした。

 ちなみに当日座った座席は前方右寄り。このため、冒頭にあった舞台左手での芝居は視覚的には鏡側の役者陣が視界に入る一方、声は手前側の役者陣のものが入ってくるので、人の距離と音声の距離が同期せず、少し酔いかけた。車でも船でもなく、ただ舞台を観ているだけで酔いかけたのは、ある意味新鮮だった(笑)。

 舞台は、とある診療所。集団治療を受ける人々が一側面が全面鏡張りのレクリエーションルーム(?)で過ごしている日常から始まる。ほとんどの患者は鏡に映る自分に疑問をいだかないが、1人の少女が鏡に映る自分が時折違う動きをしたりサボっていたりすると主張する。

 ユニゾンで舞台を進行させたところで、果たして最後までそれを続けたところで面白いかどうかは分からないわけで、本作では徐々に鏡側の人々が異なる動きを見せ、手前側の登場人物と対話するようになる点に特徴があった。つまり、劇中の鏡側の登場人物が意図してユニゾンを引き起こしている形。この中には、前後を行き来する人物も登場する。

 冒頭、この仕掛けが明確になる前は、手前と奥で台詞や演技にズレが生じるとドキドキする部分もあったが、仕掛けが明確になると、それは当然のズレとして理解・許容できるようになって無駄なドキドキはなくなった。そして終盤になると、手前側の人物がむしろズレを引き起こしはじめ、劇中には描かれない次へのステップ、それにそれ以前のステップが見え隠れするようになる点は興味深かった。

 衣装からやや近未来の世界を想像していたが、療養所の設立理由や患者が集められた理由が分かれるにつれ、実は現代に近い時代が舞台になっていることが分かる。決して悪くはないのだけれど、演者が持っていた小説にヒントを得ているのかなと知ると少々現実に戻されてしまう。舞台が醸し出していた何とも言えない非現実の漂いを感じていた私としては、いっそ近未来の世界に飛ばして、現代にあり得ないモノでも良いから異なる理由を設定してくれれば、最後まで作品に魅入れたかなと思った。

 次回公演は2009年10月、座・高円寺1で「ソビエト マヤコフスキィ生誕116年」。

http://www.duelsisters.com/




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